計画では

2006年以来眠らせていたのを復活させようとしたのは2017年。
当初の計画では、エンジン本体はJUNマシンショップ製の鍛造ピストンとコンロッドを入れて3.1リッターへボアアップと考えていました。
が、もしその上のカスタムキットを入れてストロークアップし3.2リッターにしようとすると、専用のクランクシャフトは単品販売してないし、
ピストンも専用品になるので使えなく無駄になります。 価格差は60万ほどありましたが、ここでやらないと後悔しそうだったので、
思い切ってストロークアップもして3.2リッターにすることにしました。


右のが私のエンジンに組まれたクランクシャフトの現物。 その奥は加工が終わったヘッドです。

そもそも10年以上青空駐車で動かしていなかったので、ダメになっているところがあったら修復が必要と思っていたのですが、
エンジンをオーバーホールする程度で大丈夫ということで、その辺にみこんでいた出費がほぼなくなったのですよね。
で、一度タガが外れるともう止まらなくなるもので、この際やれることは全部やろうと、カムと強化バルブスプリングも入れて、
ヘッドやエンジンの加工は一通りやってもらいました。

タービンは?

タービンは93年に組んだT25G(コンプレッサー直径54mm、タービン直径53mm)のままでしたが、昔からあるTD05とかではなく、
最新のタービンにしたいと思っていました。 候補はギャレットのGTX2863Rか、EFR6258。 これは、排気量アップするのだから、
長らくスタンダードだったHKSのGT2530キット(コンプレッサー60mm、タービン54mm)より少し大きいものがちょうど良いだろう
と考えていたからです。


右のが私のZに組んだ現物。 左と比べるとコンプレッサーの入り口径が2インチ(左は2.5インチ)になっています。

この時国内メーカーからはすでにZ32用のタービンキットは販売されてなく、JUNでワンオフ製作してもらうしかないかと思っていましたが、
福岡のDAYTONAというお店がアメリカのZ1モータースポーツ社のタービンキットを輸入していることを見つけ、
そこにあったGTX2867R(コンプレッサー67mm、タービン54mm)、しかも当時出たばかりのジェネレーション2タービン
のキットにしたのです。 正直気に入っていたのはEFRの方なのですがこちらはキットがなく、ワンオフ製作となるとエキマニをステンレスの
溶接で作ってもらうことになるものの、ステンのマニは割れるもの、Z32は割れたらエンジンを脱着しての交換になるので、
純正マニにポン付けできるGTXにしたのです。

その他のパーツ

GTXのキットは2860と2867が選べましたが、3.1じゃなく3.2リッターにするのだから2867も回せるだろうと、
大きい方を選びました。 この時コンプレッサーの入り口径を2.5インチと2インチで選べたのですが、ノーマルと同じ2インチを選択。
これは、インタークーラーを含めた吸気管を2.5インチ径にしてビッグスロットルを入れて吸気経路をすべて2.5インチにするパーツを
Z1モータースポーツで出していたためで、今回インタークーラーは変えず、ビッグスロットル化も考えてなかったので2インチとしました。


また、フロントパイプにはセントラル20のスポーツ触媒(口径60φ、今はもうここのしかない)としましたが、
付属のタービン直後のダウンパイプ(左側の画像)の形状が国内仕様(もっと短い)と海外仕様では違っていたので、ここはJUNで加工してもらいました。
マフラーは柿本R(画像右側)。 メイン70φ・出口100φなのですが、タイコの中は60φくらいに絞ってあるような。。。
マフラーは他にアペックス、フジツボ、ZEES、セントラル20が車検対応を出しているのですが、出口とタイコの形が柿本が一番好きだったので
柿本にしました。 あと、ATはシュヴェーレンの強化AT1。 強化AT2ってのもあるのですが、これは競技用で変速ショックが半端なくて
ストリートではとても乗れたものではないと言われたためやめました。 強化AT1の許容出力は550ps程度だそうなのですが、
それはゼロヨンとかの高負荷状態での踏みっぱなし変速とかを想定しているようで、そんな運転しなければ550ps以上でも耐える
らしい。(あくまでも「らしい」ね。) インジェクターはサイドフィードで最大の740cc、それに合わせたポンプに換えました。

結果

パワーは553.46ps、トルクは81.47kgf・mとなりました。


タービン的には700~800psも可能とのことでしたが、全然届きませんでしたね。 その分トルクはメチャメチャ出てますが。
原因はタービンのエキゾースト側のサイズと思われます。 下の画像(左側)中央の黒っぽいのがエキゾーストハウジングで、
このサイズをA/Rという単位であらわすのですが、A/Rは0.64と0.86があり、発注時に何も言わなければ0.64が届くのです。
今回3.2リッターにしてカムまで換えてあるので排気ガスが流れる量は大きく増えています。 それが流れるエキゾーストハウジングも
大きい方の0.86を選択するべきところでしたが、完全に漏れていました。


このため、本来2キロ級の高いブーストで本領を発揮するGTXタービンが、排気ガスがフン詰まって1.7キロ弱しかかからず、
圧がかかってもシリンダーに入っていかないのでこの程度しかパワーが出なかったものと思います。

で、どうなった?

スペック的にはちょっと物足りない、以前の約450psから100psアップ程度の残念な結果になりましたが、
乗ってみるともう全然違う。 そもそもブーストのかかってない3000回転以下の領域でも、排気量が約10%ほどアップ
しているおかげで、トルクがあって簡単にスピードが乗る。 なので街中でブーストがかかる所まで踏めない。
1速にホールドして無理やり踏んでブーストかけると、前に吸い込まれるような感じで怖いくらい加速します。

まだ高い速度域でブーストガンガンかけて走れていないのですが、正直パワーは十分と思います。
でもねぇ、せっかくのタービン、フルスペックで使いたいじゃないですか。 なのでできればもうちょっとやりたい。

あと、信号でブレーキ踏んで止まってる時の振動が全然違ってて、なんかエンジンに踏めとせっつかれている感じ。
これはフルカウンタークランクの影響かな。 他に、ATの変速は以前と全然変わりなくスムーズに変速します。
ドライブやバックに入れるときの変速ショックだけ若干大きくなったかなくらいで、違和感はないですね。

最後に

驚いたのは燃費。 あたりまえだけど悪くなっていますが、ふり幅が凄く大きい。
最初燃料計壊れたかと思いましたが、ブーストかけずに乗ると満タンで200キロくらい(リッター3.2キロ)、
ちょいちょいブーストかけて乗ると満タンで100キロくらい(リッター1.6キロ)になります。
これ下手すると、首都高とかで攻めるとリッター1キロとかになっちゃうんじゃ。。。ちなみに以前はリッター5~6キロくらいでした。